大手ネット証券で信用取引手数料が無料化された

auカブコム証券が信用取引手数料の無料化を2019年12月2日にプレスリリースしました。実施は2019年12月16日から。驚きです。

新生「auカブコム証券」誕生記念!! 「ベストプライス宣言!」 第2弾:信用取引の取引手数料を「撤廃」金利/貸株料引上げ等のお知らせ

引用元:auカブコム証券 プレスリリース(2019年12月2日)

他の大手ネット証券(楽天証券、SBI証券、マネックス証券)も、これに続くように信用取引手数料の無料化を発表しました。その内容を見てみましょう。

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信用取引手数料無料化の背景には「ベストプライス宣言!」がある

auカブコム証券で信用取引手数料が無料化された背景には、「ベストプライス宣言!」があります。その内容は次のとおりです。

なお、「ベストプライス宣言!」とは、
・宣言をした時点にて、大手ネット証券5社中で最低の手数料やスプレッドである。
のみならず、
・一度宣言をした商品の手数料やスプレッドは、大手ネット証券5社中での「最低プライスを出し続けて」いきたい。
という当社の努力目標をも、標語にしたものとなります。

引用元:auカブコム証券 プレスリリース(2019.11.15)

何だか家電量販店の「他店の方が安ければ、それよりも安くする」的なノリを感じますが、素晴らしい取り組みです。

この第2弾として行われたのが、今回の信用取引手数料の無料化です。制度信用や一般信用などの区別なく、取り扱うすべての信用取引手数料が2019年12月16日約定分から撤廃されました。私はauカブコム証券の信用取引を利用していますので、これは嬉しい驚きです。

金利・貸株料等の引き上げに注意

ただし、信用取引の買方金利、一般信用取引の貸株料が引き上げられたので注意が必要です。買方金利に関しては1%の引き上げです。また、それまでは無料だった品受/品渡に関する事務手続き料が新設されています。

従って、信用取引の建玉を長期で保有すると不利になります。

例えば、一般信用取引で20万円の買い建て玉を作ると、従来は消費税込みで148円の手数料が掛かりましたが、これが無料になります。一方、買方金利は従来から1%引き上げられるので、年間で2,000円の値上げになります。これは、1日あたりに換算すると約5.5円の値上げになるので、建玉を54日以上保有すると手数料の減額分(返済手数料も含めて、148円×2)を買方金利が上回ってしまいます。

マネックス証券、SBI証券、楽天証券ではETF・REIT等の信用取引手数料を無料化

auカブコム証券のプレスリリースの翌日(2019年12月3日)に、マネックス証券が信用取引手数料の無料化を発表しました。auカブコム証券との違いは、対象がETF・REIT・ETN・インフラファンドに限定されていることです。つまり、個別株は対象外です。

また、「キャッシュバックによる実質無料化」という点にも注意が必要です。つまり、取引時には手数料が発生しますが、後日キャッシュバックされるということです。

投資信託も!ETF・REIT等の信用取引も!実質0円!

引用元:マネックス証券 最新情報(2019年12月3日)

さらに、その翌日(2019年12月4日)には、SBI証券と楽天証券もETF・REIT等の信用取引手数料の無料化を発表しました。

SBI証券、各種手数料の無料化のお知らせ
~2019年12月16日(月)から、すべての投資信託の販売手数料、信用取引(ETF・REIT等)および夜間PTS取引の手数料無料化を実施~

引用元:SBI証券 ニュース(2019年12月4日)

ETF・REITなどの信用取引手数料を0円に!
(2019年12月16日(月)約定分~)

引用元:楽天証券 お知らせ(2019年12月4日)

SBI証券は、当面はマネックス証券と同じ「キャッシュバックによる実質無料化」という形をとりますが、システム対応後に完全無料化になる予定です。時期は来春を目途とのこと。

楽天証券の方はキャッシュバックではなく、完全無料化です。

まとめ

この12月に大手ネット証券が競うように信用取引手数料の無料化を発表しました。証券会社による大きな違いはなく、まとめると次の通りです。

  • 大手ネット証券5社の中で、今のところ、auカブコム証券、マネックス証券、SBI証券、楽天証券の4社が実施
  • 「ETF・REIT等」の信用取引手数料の無料化に関しては、横並びで差がない
  • 強いて言うと、マネックス証券とSBI証券が「キャッシュバックによる実質無料化」なのに対し、asカブコム証券と楽天証券は「キャッシュバックではない完全無料化」
  • 「個別株」の信用取引手数料の無料化に関しては、auカブコム証券のみが実施
  • ただし、金利・貸株料等が引き上げられており、建玉を長期保有すると無料化された手数料を金利が上回るので要注意

個別株の信用取引を行う場合は、現状はauカブコム証券が手数料の面で有利です。ただし、建玉の長期保有は要注意です。短期トレードには最適と言えますね。

また、auカブコム証券は「ベストプライス宣言!」を掲げているので、低コスト化をリードする意欲が感じられます。できれば、金利・貸株料においてもベストプライスになることを期待したいですね。

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