iDeCo保有ファンドの信託報酬率の引き下げ~三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド(2019年12月)
iDeCoの2019年12月の運用結果を確認しようとSBI証券のサイト(SBIベネフィット・システムズ)にログインしたところ、「【三菱UFJ国際投信】約款変更による信託報酬率引き下げのお知らせ」という通知があり、保有ファンドの信託報酬率が嬉しいことに引き下げられていました。
2019年7月にも、保有ファンドの信託報酬率が引き下げられて大喜びしました(以下の記事)が、それに次ぐ引き下げ。少し遅れて届いたクリスマス・プレゼントです。
信託報酬率が引き下げられたのは、三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド
対象のファンドは「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」です。サイトのお知らせは次のようになっており、新興国株式に投資するファンドと一緒に信託報酬率が引き下げられていました。
三菱UFJ国際投信株式会社が運用する商品につきまして、下記の通り、約款変更により信託報酬率が引き下げとなります。
■対象ファンド
・三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド
・三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド■信託報酬率(税抜)
・三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド
0.55% → 0.34%
・三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド
0.52% → 0.34%■約款変更日
SBIベネフィット・システムズの掲載情報を元に整形
2019年12月26日(木)
税抜0.52%から0.34%への引き下げなので、それまでの約3分の2になったということです。割と大きな引き下げですね。新しい信託報酬率は、税込では0.374%になります。
国際債券型の他のファンドと比べてどうなのかを確かめるために、モーニングスターのコストランキングの上位ファンドを見てみると、下表のとおりです。信託報酬率が低いほどランキングの上位になり、1位のETF(2本)の信託報酬率は税込0.13%、3位のETF(2本)と投資信託(3本)の信託報酬率は税込0.15%でした。
新興国債券ファンドに関しては、「(NEXT FUNDS)新興国債券・J.P.M・EM・プラス(H無)」の信託報酬率が税込0.21%で最も低く、次いで「iFree新興国債券インデックス」が税込0.24%。従って、「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」は、まだ業界最安水準とは言えません。
順位 | ファンド名 | 信託報酬(税込) |
---|---|---|
1 | (NEXT FUNDS)外国債券・FTSE世界国債(除く日本・H無) (NEXT FUNDS)外国債券・FTSE世界国債(除く日本・H有) |
0.13% |
3 | ダイワ つみたてインデックス外国債券 eMAXIS Slim先進国債券インデックス iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF ニッセイ 外国債券インデックスファンド iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(H有) |
0.15% |
8 | 上場インデックスファンド米国債券(H無) 上場インデックスファンド米国債券(H有) |
0.18% |
10 | たわらノーロード先進国債券 Smart-i 先進国債券インデックス(H無) Smart-i 先進国債券インデックス(H有) |
0.19% |
13 | iFree外国債券インデックス | 0.20% |
14 | (NEXT FUNDS)新興国債券・J.P.M・EM・プラス(H無) | 0.21% |
15 | たわらノーロード 先進国債券<H有> | 0.22% |
16 | 三井住友・DC外国債券インデックス | 0.23% |
17 | iFree新興国債券インデックス | 0.24% |
18 | ジパング企業債ファンド | 0.25% |
19 | 上場インデックスファンド海外債券毎月分配 ひとくふう世界国債ファンド(H有) |
0.28% |
ポートフォリオ全体のコストは0.403%から0.383%に下がった
SBI証券のオリジナルプランで運用しているiDeCoのポートフォリオは次表のとおりです。表中の信託報酬率は、2019年秋の消費税率引き上げ後のものです。
今回の「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」の信託報酬率の引き下げにより、ポートフォリオ全体の信託報酬率の加重平均は税込0.383%になりました。それまでは税込0.403%でしたので、0.02%下がったことになります。
資産クラスと配分 | ファンド名 | 信託報酬(税込) |
---|---|---|
国内株式(5%) | 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 0.176% |
国内中小型株式(5%) | ひふみ年金 | 0.836% |
先進国株式(20%) | DCニッセイ外国株式インデックス | 0.2079% |
海外REIT(10%) | 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.297% |
先進国中小型株式(10%) | EXE-i グローバル中小型株式ファンド | 0.331% |
新興国株式(20%) | EXE-i 新興国株式ファンド | 0.381% |
先進国債券(10%) | 野村外国債券インデックスファンド | 0.154% |
新興国債券(10%) | 三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド | 0.374% |
金(10%) | 三菱UFJ 純金ファンド | 0.99% |
ポートフォリオ全体(加重平均) | 0.383% |
新興国株式ファンドを乗り換えるか?
ここで、新たな悩みが。今回の引き下げにより、SBI証券のオリジナルプランの運用商品のうち、新興国株式に投資する最安コストのファンドが「EXE-i 新興国株式ファンド(税込0.381%)」から「三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド(税込0.374%)」に替わりました。
僅差ではありますが、気になります。なぜなら、iDeCoのポートフォリオ設定において、私は「同じカテゴリ内の最安コストのファンドを選ぶ」ことを基本にしているからです。そこで、両ファンドを比較してみましょう。
比較内容 | EXE-i 新興国株式ファンド | 三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド |
---|---|---|
ベンチマーク | FTSEエマージング・インデックス(円換算ベース) | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース) |
信託報酬率 | 税込0.381% | 税込0.374% |
トータルリターン(5年) | 1.00% | 0.95% |
標準偏差(5年) | 16.95 | 17.61 |
シャープレシオ(5年) | 0.06 | 0.05 |
設定日 | 2013-05-13 |
2009-12-11
|
コスト(信託報酬率)、パフォーマンス(トータルリターン)、リスク(標準偏差)にほとんど差がないことが分かります。唯一の違いは、ベンチマークが異なること。SBIアセットマネジメントの記事「インデックス徒然(1)新興国とは(1)」によると、両ベンチマークの主な違いは韓国を含むか否かであり、MSCI社は韓国を含めているが、FTSE社は含めていないとのことです。
一番の違いは、韓国を先進国と定義するのか新興国と定義するのかです。MSCIは、為替の自由化が不十分等の理由から韓国を新興国に据え置いているとのことです。
韓国の取り扱いの違いが、インデックスファンドの王者、バンガード社が昨年、ターゲットインデックスをMSCIからFTSEに変えた要因の一つとも言われており、たかが1か国とは言えない重みを持っています。
引用元:SBIアセットマネジメント「EXE-i(エグゼアイ)|インデックス徒然(1)新興国とは(1)」
信託報酬率は僅差なので、ポートフォリオを変更するほどではないとするか、ポートフォリオの設定ポリシーに従ってファンドを入れ替えるか? 悩ましいところですが、もう少し悩むことにします。
まとめ
まとめると次のようになります。
- 2019年12月に、iDeCoの保有ファンドのうち「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」の信託報酬率が引き下げられた。保有ファンドの信託報酬率の引き下げは2019年7月の「野村外国債券インデックスファンド」以来。
- 具体的には、税込0.572%から0.374%への引き下げ(約3分の2)。大きな引き下げだが、新興国債券ファンドの業界最安水準とはまだ言えない。
- 一緒に「三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド」の信託報酬率も引き下げられた結果、保有中の「EXE-i 新興国株式ファンド」の信託報酬率を僅差で下回った。
- 僅差ではあるが、より低コストのファンドが現れたので、新興国株式ファンドの入れ替えを今後検討する。
保有ファンドの運用コストが下がることはとても嬉しいものです。住宅ローンの金利が下がるのと同じ喜びですね。こうした動きが業界全体でさらに活発になることを期待します。
- この記事は、記事内で紹介したファンドをおすすめすることを目的とするものではありません。
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